スポーツトレーナーに資格は不要!に死角はあるのか?!これからトレーナーを目指す方にオススメの資格5選

スポーツに関わる仕事を考えている人の中には、「トレーナーは資格が無くてもできる」という話を耳にしたことがあるかもしれない。ラッキーな話と飛びついたはいいものの、いざ現場に出ている人に話を聞くと、何かしらの資格を持っている人ばかりと気づいた人もいるだろう。

そして困ったのは、その「持っている資格」が人によって様々なこと。結局、何をどこまで取ればトレーナーとして一人前になれるのだろうか…?

スポーツトレーナー就職における“資格”

トレーナーを仕事とする上で候補となる就職先はいくつかあるが、例えばフィットネスジムのようなところは経験者を求める求人が多い。広告で目にするような大手のジムは、ところにより研修制度や新人教育をサポートする体制が盤石で、無資格未経験から採用する場合もあるが、そうでもない限りは何かしらのスポーツでの指導経験やトレーナーとしての実務経験を求めるケースの方が多い。

いち早く現場に出て先輩トレーナーから仕事を教わったり、受付等の諸業務を行いながら現場で習得できることを増やしていくことは有益だが、利用者を含めて「このトレーナーは何をしてくれる人なのか」という視線は少なからず厳しいことは覚えておいた方がいいだろう。

 スポーツチームや実業団などの専属トレーナー契約も、基本的には実務経験がある人となるが、仮に新卒から採用する場合も、スポーツ関係の専門の学校を出ていることや、資格を取得していることが求人の条件となってくる。

単に資格を取れるだけ取った方がいいというよりも、そのスポーツ/組織で重要視されている考え方やトレンドを見極め、需要に合ったものを取得した方が近道になるだろう。一度、求人に出されている要件を見ておくといいだろう。

スポーツトレーナーとして長く働くうえでの“資格”

言うまでもないが、仕事において「就職すること」はゴールではなく、そこで活躍したり長く働いたりすることこそが肝要になる。だからこそ考えたいのが資格取得を通じたキャリアアップだ。

もちろん経験を積めば積むほど、資格の有無に関係なく指導力や知見の幅広さは身につくが、数多くいるトレーナーの中でわかりやすく自身の実力を示さなければならない。

特に近年で増えているフリーランス(どこの会社にも属さず、複数のトレーニング施設や顧客と都度契約しながら活動する)の場合、レンタルジムを借りたりお客さんの自宅をお借りしてレッスンを行うことになるが、もしフィットネスジムから業務委託という形で仕事を受ける場合は、信頼を示すためにもトレーナーに関する資格を持っていることが前提となるだろう。

スポーツトレーナーにおすすめの資格5選

それでは具体的に、どういった資格がトレーナーとして実用的で、利用者からの信頼感にもつながるのだろうか?やはり「スポーツトレーナー」という仕事が運動をする人のトレーニングやその前後のケア、怪我や痛みを負った際の応急処置からリハビリを担うことから、それらの分野を専門的に学ぶ資格が有利となる。具体的におすすめしたい5つを下記に紹介する。

《国家資格》柔道整復師

柔道整復師は、骨・関節・筋・腱・靱帯などに加わる負荷や衝撃などによって発生しうる、骨折や脱臼、打撲、捻挫、挫傷などの怪我に対して、手術をしない「非観血的療法」を用いて治療にあたることのできる国家資格。具体的には、関節を元の正しい位置に戻す「整復」や、受傷して弛んだり折れたりした部分に対する「固定」などが挙げられる。

《国家資格》あん摩指圧師

「あん摩マッサージ指圧師」とは、あん摩、マッサージ、指圧といった技術を用いて患者さんの身体に起こる変調を和らげる仕事。特徴としては東洋医学の知識を基礎として、器具を使用せず、「なでる」「揉む」「押す」「さする」などの動作を直接患者さんの身体に行う。そうした手技を正確に行う技量はもちろん、問診や検査法を通して不調の原因を特定する力も求められる。

《国家資格》鍼灸師

鍼灸師とは、「はり」や「きゅう」を用いて治療を行ったり、健康回復を手助けしたりする職種のこと。医療機器や薬剤を使う西洋医学の治療とは異なり、鍼灸師が行っているのは東洋医学に基づく治療。「鍼」や「お灸」で体のツボを刺激することで、人間本来が持つ自然治癒力を高めていく。なお、「はり師」と「きゅう師」はそれぞれ別の資格。

《民間資格》日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー

JSPO(日本スポーツ協会)が定める講習を受け、理論試験・実技試験をクリアすることで取得できるトレーナー資格の一つ。公認スポーツドクター及び公認コーチとの緊密な協力のもとに、競技者の健康管理、外傷・障害予防、スポーツ外傷・障害の救急処置、アスレティックリハビリテーション、体力トレーニング及びコンディショニング等にあたる。

《民間資格》NSCA認定パーソナルトレーナー

アメリカのNSCA(National Strength and Conditioning Association)の日本支部であるNSCAジャパンが認定する、パーソナルトレーナーの資格。一般の人々の健康維持・増進、アスリートの疾病予防や競技力の向上をめざし、研究に基づくトレーニングとコンディショニングの知識を備え、普及する役割を担う。トレーニングに限らず医学的、運動生理学的な専門知識を身に着けるため、理にかなった指導や提案が可能になる。

スポーツトレーナーに「なるまで」も「なってから」も大事

見てきたようにトレーナーという仕事に関連する資格はいくつもあり、言うまでもなく持っていた方が有利だ。だからと言って就職する前から全てを取得することはほぼ不可能で、もっと言えば働く中で見えてくる必要性やチャンスもあるだろう。

大事なのは「取ればとるほどいい」ということではなく、トレーナーになるまではもちろん、なってからも向上心を絶やさず、「自分にとって必要なインプット」「業界的に求められている知識や技術」を見極めることだと言える。自分の将来像を思い描きながら、まずは気になる資格や分野について調べてみるといいだろう。