医療やリハビリに関わる職業にも色々あるが、「柔道整復師」というネーミングを聞いて、どんな仕事なんだろう、柔道とはどう関係があるんだろうか…といった疑問を持ったことがある人も少なくないかも。
柔道整復師は医療や介護、そしてスポーツの世界と活躍のチャンスが多数あり、今後も需要が高まるだろう職業の一つだ。果たしてどんなことを勉強して、どんな仕事ができるようになるのだろうか?
柔道整復師とは
はじめに柔道整復師とは、骨・関節・筋・腱・靭帯などに加わる外傷性が明らかな原因により発生する骨折・脱臼・打撲・捻挫・挫傷などのケガに対して「非観血的療法」で治療をする専門家のこと。
「非観血的療法」という言葉が聞き慣れない人も多いはずだが、これは医療行為において出血を伴わない治療方法のこと。すなわち手術や切開を伴う処置はできないが、骨折・脱臼・打撲・捻挫・挫傷等への医療行為が法律で認められている。
「医者じゃないのに骨折や脱臼の治療も行えるの?」と思った人もいるかもしれないが、実は柔道整復師も、医師の同意があればそうした治療を行えるだけの知識や手技を身に着けているのだ。これを読んでいる人の中にも、接骨院や整骨院で実際にお世話になった人もいるかもしれない。
柔道整復師と整体師って違うの?
実は混同されやすい職業として、「整体師」がある。一番の違いは、柔道整復師は国家資格であるのに対し、整体師は国家資格ではなく、カイロプラクターやセラピストなどの民間資格取得者を総称した呼び方とも言い換えられる。
身体に溜まった疲れやそれにより生じる痛みなどを癒すセラピストとしての役割は整体師にもできるが、怪我の発生時から治癒までの全てのフェーズに関わることができるのは柔道整復師ならでは。柔道整復師の施術行為はすなわち医療行為に該当するため、健康保険、自賠責保険、労災保険などの保険が適用されることも大きな違いとなっている。
柔道整復師の仕事内容は?
柔道整復師が行う仕事は、以下の3つに大きく分けられる。
整復法
骨折した箇所や関節が外れた箇所を元に戻す行為のこと。医師が介入していない段階の応急処置では、レントゲン画像も無い状態となるため、患者さんの話から骨の折れ方を推察し、骨の近くにある神経や血管を傷つけないようにしながら治療を行う。医師の介入が得られてからは、次に説明する「固定法」や「後療法」へ移行し継続した治療を行う。
固定法
骨折や脱臼などをした部位を三角巾や包帯などで固定する行為。損傷した部位の腫れや、血管・神経の圧迫を防ぐことができる。また受傷した直後から数日は積極的に冷却を行い、腫れや細胞の壊死を予防するよう働きかける。
後療法(手技療法・物理療法・運動療法)
怪我をする前の状態に回復するよう、身体に備わる治癒力に働きかける療法。物理療法では電気や光、温熱、超音波、冷却などを用いて細胞の働きを促す。ほかにも動きを取り戻すための訓練や、マッサージ等の手技で以前のような動かしやすさに戻るようアプローチする方法などがある。
柔道整復師の活躍の場はたくさんあるの…?
以上のような治療法を聞くと、接骨院や整骨院で働いている様子が想像つくだろう。もちろん正解だが、柔道整復師はそれに限らず様々なフィールドで働いている。
柔道整復師の就職先は、接骨院・整骨院・病院はもちろん、スポーツトレーナーとしてクラブチームや実業団にて活躍したり、介護福祉分野でも機能訓練指導員として働いたりすることができる。また、柔道整復師の資格があると開業が可能になるため、自分で接骨院などを開き運営することも可能だ。
平成30年の厚生労働省の調査によると、柔道整復師として働いている人は 73,017人で、前回(平成28年)に比べ 4,897 人(7.2%)増加し、柔道整復を行う施術所も全国で5万箇所を越えたという結果になっている。
たとえ柔道整復師が増えても、ニーズが無ければ元も子もないが、スポーツはもちろん介護福祉分野においても需要は続くと考えられ、資格取得が幅広い分野での活躍に繋がると期待される。
自身の可能性を広げられる資格、改めて将来設計を!
柔道整復師に限ったことではないが、資格を撮るにはお金も時間もかかるのは揺るがない事実で、さらに資格を取ったからと言って将来が思い通りにいくとは限らない、というのも現実だ。
柔道整復師も活躍のフィールドが広がっているとは言え、例えばスポーツ界を志願したところで携われると断定はできないのが実情だが、「資格取得」という自信が大きな機動力になるのは間違いない。改めて何を勉強してどういった道に進むか、これを機に考えてみよう。