ジムのトレーナーは稼げるのか!?就職から初任給、将来の選択肢まで

ここ数年のパーソナルトレーニングの広まりや健康志向の高まりを受けて、ジムに通ったり日夜身体を鍛えたりする人を目にする機会も増えただろう。そして自分自身も身体を鍛えるのが好き、という人の中には、「将来はジムのトレーナーになれたら、好きなことを仕事にできていいな」と考えている人もいるかもしれない。この記事では、そうして興味を持った時に気になる年収や将来性について紐解いていこう。

ジムのトレーナーにはどうしたらなれるのか

ジムで働くトレーナーの仕事は、主に利用者に応じたトレーニングメニューを提案し、実施をサポートすることである。トレーニング方法やそれに使用する器具について熟知していることはもちろん、身体の構造や運動の仕組みを理解し、鍛えたい箇所や伸ばしたい力に応じたメニューを組み立てられなければならない。

ジムには本格的に鍛えたい人はもちろん、これから運動を始めようという初心者の方も来館する。トレーニングエリアを巡回しながら、マシンの使い方を教えたり、間違った使い方をしていたらアドバイスをしたりと、対象に応じてきめ細かく指導するのも大事なポイントだ。

また、お客さんを指導する一方で自分自身の身体も鍛えたりコンディショニングしたりすることも仕事のうちとなる。健康的な体つきをしていた方が指導やアドバイスの説得力も増すし、身体を動かしたり変化させたりする楽しさや達成感を実感値として持っているに越したことは無い。

以上のことから、ジムのトレーナー自身も仕事の合間を縫ってトレーニングを重ねることが求められる。

 ジムのトレーナーになるには、各施設(チェーン展開をしている場合は会社)の求人から応募し、希望する雇用形態で勤めることから始まる。別のジムやトレーニング施設などで実務経験がある場合を除き、正社員を希望してもまずはアルバイトや契約社員で、といったこともあるだろう。近年はフリーランスで複数のジムを掛け持ちして指導に当たるケースも増えている。

いずれにしても、実績と経験が前提となるのは言うまでもない。

ジムのトレーナーって年収ってどれくらい…?

それではジムのトレーナーになるとどれくらい稼げるのだろうか・・・?まず初任給の相場だが、新卒(大卒)で正社員として大手フィットネスクラブに入社した場合、およそ月21~22万円程度が相場となる。

例えば大手の一つに数えられる「ティップネス」では、2022年度の採用情報に四大卒の初任給を226,000円と提示している。高卒の場合や、勤務エリアを限定する場合はもう少し低くなるようだ。

一概には言えないが、大手フィットネスクラブの方が高い年収の傾向にあり、福利厚生が充実している場合も多い。一般的に実績や経験、職場での役職が変わるにつれ昇給も期待できるが、一般的な企業に勤めるサラリーマンと比較すると給与水準は決して高くない。企業による差はもちろん、都市圏に比べると地方の方が平均給与の低い場合も多い。

資格手当や役職手当がある場合は、自身のめざす将来像に応じて積極的に、また働き方を正社員からフリーランスに変えたり、実績をつけてより待遇の良いところに転職したりするのも給与をアップさせる策の一つだろう。

ジムのトレーナーにおける「成功」とは何か!?

見てきたように、一般的に大手の方が恵まれている側面や、盤石な組織の中で初期教育を受けられるというメリットはあるものの、「これが成功ルート」と言い切れるわけではない。中規模のジムの方が早くからマネジメント職につけるかもしれないし、自分がいかに努力するかによっても変わってくるだろう。

経験は日々積み重ねるものとして、自分の知識や指導の的確さを証明するためには、資格取得が有効な手段となる。そもそもトレーナーは資格を持っていなくてもなることができるが、無資格の人に指導されるよりも、有資格者からアドバイスやその根拠を説明された方が安心感や説得力が増すに違いない。そうした背景から、現場でも有資格者を優遇する企業が多いのが実情だ。

関連する資格は様々にあるものの、例えば下記のようなものが挙げられる。

・スポーツ指導者:日本スポーツ協会認定
・トレーニング指導者:日本トレーニング指導者協会
・NSCA認定パーソナルトレーナー:日本ストレングス&コンディショニング協会(NSCA)

他の資格も含め、採用の段階から持っていれば有利だし、入社後に取得しても資格手当がもらえることもある。働く中でより深めたい分野がわかってくる場合も多いことから、中長期的に考えて取得を進めるのもいいだろう。

キャリアプランの選択肢

最初に勤めた会社で経験をつけて転職、パーソナルジム開業などの独立、勤務先を変えず雇用形態を変えることもひとつ。フリーランスとして活躍する人の中には1,000万円クラスの年収をもらう人もいる。

大会などでタイトルを得たり、独自のメソッドで成功事例を出し、個人の名前で売れるようになれば少なくともチャンスは広がるだろう。あるいはマネジメントに興味がある人は現場から一歩引いて、後輩や組織を育てる立場にも可能性がある。

給与だけに捉われない「やりがい」や「将来のゴール」を

見てきたように、一口に「ジムのトレーナー」と言っても、どこに就職するかはもちろん、雇用形態や将来的にどんなポジションをめざすかにおいても、様々な選択肢がある。必ずしも給与面が恵まれているとは言い切れず、対して日々体力も使う仕事であることから、苦労を伴う瞬間も少なからずあるかもしれない。

ただ、自分の身体を鍛えたり健康面を整えたりしながら、その楽しさをジムの利用者と分かち合う喜びや、そういった方々の心身の変化を一緒に見届けられるというやりがいは、この仕事ならとも言える。自分自身が何をやりがいにして仕事に臨みたいか、そしてトレーナーとしてどんな将来を迎えたいか、これをきっかけに考えてみるといいだろう。