あの選手のリハビリを担いたい!リハビリトレーナーの仕事~活躍できるフィールドや年収、将来性に迫る!~

アスリートが世界の舞台で活躍する姿はもちろん、大きな怪我や病気といった逆境に屈せずリハビリを続け、再び第一線に戻ってくる姿にも、勇気や希望を感じる人は多い。そして、本人の傍らでトレーニングを指導し、心身を支えるトレーナーの姿に憧れを持った人もいるのではないだろうか?「あの仕事って何?」「自分にもなれるの?」と思った人は、まずこの記事を読んでみよう。

リハビリに携わりたい、と思った時の選択肢

スポーツ選手のリハビリに携わる職業にもいくつかの種類があるが、最も身近で長期間に渡り関わるのは、「スポーツトレーナー」の存在だろう。例えば大きな怪我を想像した時、損傷か所の診断や手術の段階では医師を始めとした医療従事者の関わりが大きいが、その先の自宅療養や動けるようになってからのリハビリテーションは、筋力の回復や動作の改善に精通したトレーナーの働きが大きい。その“トレーナー”も力点を置く領域ごとに分かれており、なかでもリハビリテーションを専門とするのが「スポーツリハビリトレーナー」なのだ。

 正直なところ諸外国に比べて日本のトレーナー制度はまだ整い切れていない側面があり、「この資格を取れば絶対!」といったものも存在しない。ただ近年、怪我や障害を負ったところからの「回復」だけでなく、日頃の習慣やトレーニングを通じた「予防」にも目が向けられるようになったことや、若い世代だけでなく中高年、さらには高齢者においても運動への意欲や必要性が高まったことを受け、大学や専門学校にもトレーナー養成を目的とした学科やコースができるようになった。

 もし在学期間中にトレーナーに関連する資格(理学療法士、鍼灸師、あん摩指圧師など)を取得するのであれば、必要なカリキュラムをこなし試験に合格するまでの年数が必要だが、現場に出てから自分の進む方向に何が必要かを見極め、学校へ行き直したり、働きながら通信教育等で資格取得をめざすという選択肢もある。

特に私立の大学・専門学校となると、国公立に比べて学費が大きく、4年制大学では150万円以上に及ぶ場合もあるのが現実。実習や実技演習に必要なユニフォームや資材を含めると、在学中にかかる出費も少なくない。自分の将来に必要なものであることは間違いないが、実際に学校へ通う先輩などにアドバイスをもらいながら、じっくり考えるといいだろう。

気になる稼ぎは?

この記事を読んでいる人の中には、専門的な知識が必要な仕事は好待遇というイメージの人がいるかもしれないが、リハビリトレーナーのの場合、年収は300万円前後からのスタートが珍しくない。中には1,000万円程度の年収をもらう人がいると、メディアなどで見聞きすることもあるかもしれないが、例えばプロチームと契約している場合や、オリンピックに出場するような選手に帯同して名が売れた場合など、ごくわずかに過ぎない。

それでも裏を返すと、頑張りを成果に結びつけることで初任給から大きく増やすことができうる職業とも言えるだろう。

 前項で資格や進学先について触れたが、収入を増やすひとつの近道として、権威のある資格を取るということは考えられる。例えば「理学療法士」という国家資格は、法令で次のように定められ、医師の指示のもと医療行為にあたることまでが許されている。

“「理学療法」とは、身体に障害のある者に対し、主としてその基本的動作能力の回復を図るため、治療体操その他の運動を行なわせ、及び電気刺激、マツサージ、温熱その他の物理的手段を加えることをいう。”

(理学療法士及び作業療法士法より(https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000168998.pdf))

上記にあるように、対象者へ施せるものの選択肢が大きく広がるため、雇用する側にとってもメリットが大きく、有利に働くと考えられる。あとは同じように考える人からどれだけ、何で差をつけるかが問われていくだろう。

就職はどう?将来性は望める職業?

スポーツリハビリトレーナーの就職先はスポーツチームに限らず、公共のスポーツ施設や整骨院・マッサージ院、総合病院やリハビリテーション施設でも求人枠が見られる。では希望通りの場所で働けるのだろうかというと、「転職をして最終的に」というケースも多く、それにあたっては実績や経験、プラスアルファの資格が後押しになりうる。

トレーナーについて学ぶ学校が増えてきたことで、そこでの講師を担い、ステップアップに繋げたというケースもある。もちろん体力や対応の柔軟性も必要なので、経験があればあるほどいい、というわけではないが、最初から思い通りにいかなかったからといって、夢を諦めることは無いだろう。

 それから将来性だが、先に触れた通りまだまだ発展の余地がある職業であり、キャリアの可能性は無限大とも言える。「スポーツトレーナー」として何十年も続けた、という人がそもそもいないこともあり、誰も答えが持ってないという実情もある。もちろんそれが「この先どうなっていくのだろう」という迷いや不安に繋がることもあるかもしれないが、着実にキャリアを重ねていくことで、収入としても立場としてもステージを上げていけることは期待していいだろう。

 もっともトレーナーの必要性認知や資格体系がより整っている諸外国、例えばアメリカでは、日本の保健の先生のように学校へトレーナーを配置する動きが見られている。国外に目を向け、キャリアを求めることも選択肢のひとつになるだろう。

活動範囲を広げ、経験と人脈を広げる意識を

記事のなかで触れた通り、スポーツリハビリトレーナーの道は決して平たんではないが、将来に向けたポテンシャルは十分にある職業の一つだ。教育機関や情報量も増えてきたことで、目の前の勉強や資格取得へ躍起になってしまうかもしれないが、並行して、実際にリハビリに携わるという“経験”や、現場で働く人たちや関連する職業等との”人脈”を作ることも大切だ。既存のものからの吸収だけでなく、自分から切り拓く意識を忘れずに、夢に向かって前進しよう。