最近はスポーツトレーナーがメディアに出演したり、有名選手だけでなく身近な人までもがパーソナルトレーナーをつけたりと、「トレーナー」という職業を身近に感じた人も多いかもしれない。
スポーツに関心がある人にとってはトレーナーになりたいと思う人もいるかもしれないが、「何をすればスポーツトレーナーになれるのか」はそこまで知られていない。資格は必要なのか?どんな勉強が役に立つのか?この記事で詳しく見ていこう。
すばり、トレーナーに資格は必要か!?
実のところ、スポーツトレーナーとして活動するのに資格はマストではない。少なくとも日本において国家資格はなく、どんな知識をもって従事するかはトレーナー個々の裁量に任せられている。
そう聞くとハードルが低いように感じるかもしれないが、実際は生身の人を相手にする職業ゆえ、把握すべき範囲も広く、求められる知識やスキルは高い。つまり仮にスポーツトレーナーという看板を背負えたとしても、十分な活躍を得るには相応の研鑽が必要ということ。そして、体系的に学ぶ機会を求めて多くの人が通ることになるのが、「資格取得」なのだ。
資格取得について調べを進めると、取得までに勉強しなければいけない量や時間、試験や登録にかかる費用ばかりに目がいくかもしれないが、逆の立場―すなわちスポーツトレーナーから指導等を受ける人―から考えてみると、そうしたパワーを割いて何らかの称号を得た人の方が安心感を抱くケースも多い。選手と違って成績などで自分の力量を証明しにくい職種だからこそ、「私はこの資格を取得するだけの勉学や実践をもって活動しています」と言えるのは大きいのだ。
また、自分と同じようにスポーツトレーナーを志すライバルが多いことを考えても、必要な資格は順々にでも取得するべきだろう。さらに仕事をしていくなかで実績を積むことができれば、その中でできた人脈や対外的な評価も功を奏し、資格以上の信頼を得ることができるに違いない。
スポーツトレーナーとして取っておきたい資格とは?
スポーツトレーナー自体には資格がないものの、選手のトレーニングメニューの立案やケア、コンディショニングのサポートに必要な資格は様々に存在する。その中でも特に現場で有用とされる資格を以下にレ一挙する。
日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー
協会の養成講習会を受講するか、適応コース承認校(大学や専門学校)に入学し卒業するかのいずれかが必要。合格率は10%前後と難易度が高いと言われているが、それだけに価値は大きい。プロの球団などではこの資格を条件として求人を出しているケースもみられる。
あん摩マッサージ指圧師
「あん摩マッサージ指圧師」とは、あん摩、マッサージ、指圧の技術を用いて身体に起こる変調を緩和する役割を担います。施術の特徴としては、東洋医学の知識を基礎として器具を使用せず、問診や検査法で患者さんの身体の不調の原因を特定し「なでる」「揉む」「押す」「さする」などの動作を直接患者さんの身体に行うことで血行を改善し、不調を和らげます。
柔道整復師
昔から「ほねつぎ」「接骨師」として広く知られ、現在は高校卒業後、都道府県知事が指定した専門の養成施設(三年間以上修学)か文部科学省が指定した四年制大学で解剖学、生理学、運動学、病理学、衛生学、公衆衛生学などの基礎系科目と柔道整復理論、柔道整復実技、関係法規、外科学、リハビリテーション学などの臨床系専門科目を履修します。
鍼灸師
ハリとお灸を使って自然治癒力の向上にアプローチできる職種。西洋医学が主体となる日本ではそこまでメジャーではないが、だからこそ根強い需要もあり、スポーツトレーナーとしての幅を広げるチャンスにもなりうる。
理学療法士
国家資格の一つで、医療現場での有用性も高い。取得までにかかる時間も大きい分、医療行為も可能となり、術後で長期間のリハビリが必要な患者や、高齢や障害で運動に制限がある人へも積極的な介入が可能になる。
NATA-ATC
アメリカのトレーナー国家資格。取得には「アスレティックトレーニング教育認定委員会(CAAT)」によって認定された大学の養成カリキュラムを受けて学士を取得する必要がある。当然資格を取らない以上は「アスレティックトレーナー」と名乗ることができず、逆にATCを持っている人は準医療従事者として認められる。
スポーツトレーナーとして大事なこと
まずスポーツトレーナーとしての生業をなすには、土台となる学問的な理解はもちろんのこと、常日頃からアップデートされる最新の情報のキャッチアップならびに、どのような形かは問わずとも現場での経験を積むことが非常に重要である。
また、選手や周りを思いやり、率先して行動ができることも重要である。自分の役割を理解し、何が求められているのかを即座に把握する姿勢が、非常に重要だと言えるだろう。
スポーツトレーナーへの興味を大事に、第一歩を踏み出そう
スポーツトレーナーに興味を持った人の中には、「思ったより大変そう」と尻込みした人もいるかもしれない。確かに資格が絶対ではないにしても、活躍には相応の知識と実践を積む必要があり、同じようなポジションをめざしている人が多いことからも、道は険しいと思って間違いないだろう。
ただ、スポーツトレーナーとして勉強することの多くは、自分自身の身体を理解し、より良い生活やスポーツ活動を続けることにも繋がる。ぜひ自分なりの目標をもって、スポーツトレーナーとしての第一歩を踏み出そう。