変化を求めた先に、未来は開けるのか―。 スポーツ業界を左右する6つのキーワードと展望

 2020年は新型コロナウイルスの感染拡大により、どの業界においてもビジネスモデルの変革を迫られている。見込んでいた収入源がほぼ全てなくなったり、直接会わないスタイルの働き方がかえって好まれたりするようなケースも珍しくない。

そして、スポーツ界もその例外ではない。Covid-19の影響を大きく受けており、経営や事業方針においても、あらゆるシーンで変化を迫られている。果たして活路はどこにあるだろうか?

本記事では、新型コロナウィルスの影響で、大きく変革を求められているスポーツ業界が、逆手にっとて成長を続けるために必要なキーワードをご紹介し、この後の展望を考察していく。

ピンチはチャンス!?新たな動きで活路を見出す2つの事例

 これまでは競合とのせめぎあいでユーザーを獲得していたスポーツメーカーも、スポーツ自体を自由にすることが許されない境遇から苦戦を強いられている。ファンサポーターに恵まれチケット収入が見込めたプロスポーツクラブですら、まず観客を入れた試合が思うように開催できないといった苦境を迎えている。

 ただ、スポーツに取り組むなかでも危機的状況こそ成長や飛躍の契機であるように、この状況をチャンスに変えたケースがある。いくつかの好例を紹介しよう。

ケース1:
【Player!×鹿島アントラーズ】「鹿ライブ」のライブ配信

(画像:PRTIMES)

 Jリーグの鹿島アントラーズは、プラットフォームとしてスポーツエンターテインメントアプリ「Player!」を採用し、過去のアーカイブ映像観戦を行うオンラインライブイベント「鹿ライブ」を開催した。いわゆる「投げ銭」で、500円から購入できるようにしたことで、多くのファン・サポーターから多くの支持を受けることができた。こういった事例から、その後多くのスポーツチームがengateなどの投げ銭サービスを活用し始めるなど、業界においてもその可能性を示唆した。

ケース2:
名古屋グランパス「sonoligo」

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(写真:名古屋グランパス HP)

Sonoligoは、音楽・スポーツ・アートを中心とする文化イベントに月額制で参加できるサブスクリプション型チケット予約プラットフォーム「Sonoligo」を開発・提供する名古屋大学発ベンチャーだ。Sonoligoを使うことで、⽉額料⾦の内でジャンルの垣根を越えて、多彩なイベントに気軽に参加することができる。その中に、サブスクでスポーツを観覧すると言う体験ができるようになると言う新しい座組みで、パートナー契約締結に至った。

このような新しいビジネスモデルかつ技術を駆使したベンチャー企業との協業という観点で、非常に好例と言えるのではないだろうか。

コロナ時期だからこそ、できることを模索し、チームを存続しうる組織にするために、新しい取り組みをせざるを得ないこの状況化において、双方メリットを強く享受できる。

今後もこういった事例は増えていくことは間違いないだろう。

スポーツ業界の今後に隠された6つのキーワード

 NTTデータ発行の「withコロナ・afterコロナ社会におけるスポーツテックへの期待、他産業への応用可能性」では、スポーツとの接点を「する」「観る」「支える」の3つに大別し、今後も含めて起こりうる変化について解説している。いずれにおいても然るべきテクノロジーを取り入れながら、スポーツの本質を失わずかつ歩みを止めない姿勢が求められている。

・「する」…

これまではできるだけ外で活動を行い、自宅でのトレーニングはその補完にとどめるアスリートが多かったであろう。しかし今後しばらくは、自宅でいかに良質なトレーニングを積むか(積む環境を整えられるか)が問われてくる。「双方向」はキーワードのひとつで、仲間とも、指導者ともコミュニケーションを図りながら、「遠隔」を言い訳にしすぎず絆や強度を維持向上させるような取り組みが必要だ。

また個人で活動している場合も、良質な「コミュニティ」を築けるか・活動が継続できるかは大きなポイントだ。オンラインというとリアルに比べて引けを取るイメージがある一方で、他地域あるいは海外のプロフェッショナルに師事を仰ぐなど、オンラインだからこそ繋がれるチャンスもある。

・「観る」…

プロ野球やJリーグなどが公式戦を行えるようにはなったものの、直近は無観客や入場制限を厳しくしたうえでの開催が見込まれる。すなわち多くのファン・サポーターは画面越しでの観戦を余儀なくされ、「バーチャル」でも臨場感や満足感が味わえる仕掛けが求められる。これまでも中継を通してスポーツ観戦をしていた層は一定数いたが、その人数が増えることは企画の比重もおのずと傾いてくる。今後は審判の視点・特定の選手の専用カメラ、といったような「パーソナライズ」された配信もありえるかもしれない。

・「支える」…

前のセクションで触れた鹿島アントラーズのケースを始め、チケット収入という主たる財源を失った状況下では、ファンがチームや選手へ「ギフティング(投げ銭)するプラットフォームなどが更に脚光を浴びる可能性が高い。当然お財布には限りがあり、また既に選手やチームによるライブ配信は多数行われているため差別化や継続性は課題であるものの、今後は試合中継とも連動し、展開や個々のプレーに応じたギフティングができるような仕組みが求められる。いくつかのチームはクラウドファンディングによりまとまった資金を調達することにも成功しており、“この状況を支えたい”という人が多いからこその受け皿作りが求められていくだろう。

未来があるのかないのか…答えは自分のアクションにある!!

実のところ今後においても、インパクトの大小はあれど時に不可測な事態に対応することがビジネスの永続性では肝要である。場面場面で関わり方や密度は変わっても、私たちの身近にスポーツがあることは変わらない。いつでも動ける“準備”をすべく、今日からまたアンテナを張った生活を心がけよう。

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