この半年でスポーツを取り巻く環境は大きく変化したものの、身体を動かすことへのニーズは老若男女問わず根強い。高齢化が言われて久しいが、スポーツもそれに合わせて生涯スポーツとしてのあり方を強め、各メーカーもそれに応じた商品やイベントの企画に奔走している。
そういった需要のあり方の変化がありつつも、スポーツをしたことがある人なら一度は考えるメーカー就職。年収や将来性はいかほどだろうか?
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スポーツメーカーの動向を握るキーワード
野球やサッカーなど有名選手がメディア露出するケースについてはメーカー商品もイメージしやすいが、実は業界の進展や売り上げの変化を成しているのは、それ以外のカテゴリーが大きい。具体的には、昨今フィットネスジムやパーソナルトレーニングがすそ野を広げていることからもわかるように、トレーニングウエアやシューズは競争が目覚ましく、アメリカなどではヨガスタジオで着るようなスポーツウエアを普段着に取り入れるスタイルも注目を浴びている。他に直近で動きが大きいと思われるのは下記の分野だろう。
・Iot、機械とヒト・・・データ計測機器、データの活用や連携、商品改良への還元
・健康志向・・・シニア向け商品とその訴求、ダイエットやボディメイクへの寄与
・東京オリンピック・・・露出増加、スポーツ機運の高まりに乗じた販売戦略
主要メーカーの平均年収は?
世界二強と言われるのは「アディダス」と「ナイキ」で、当然日本でも総合メーカーとしての地位を確立している。サッカー向けのシューズを主要とする「プーマ」はアディダス創業者の兄が創業した企業で、こちらも世界各国からの支持を受け、ユニフォームの契約なども多く勝ち取っている。
日本国内ではシューズが主力製品の「アシックス」、バトミントン、テニスを主力とする「ヨネックス」、ウエアやシューズを展開する「ミズノ」などが著名なメーカー企業。国内トップメーカーでは積極的な海外展開の動きが見られるのが特徴で、日本での露出がイコールメーカーとしての規模を示すとは限らない時代がますますやってきている。
給与面での待遇もこうした大手企業ほど高い水準が保証されることも多く、ナイキジャパンでは平均年収701万円というデータもある。アディダスジャパンでは562万円というデータだが、実績を積み上げ役職につけば、いずれも平均を大きく上回るポテンシャルがある。スポーツ業界全体の給与水準がそこまで高くないことを考えると、日本メーカーもとりわけ上位は恵まれている傾向だ。
日系スポーツメーカー各社の年収ランキングTOP10
- 株式会社シマノ 827万円
・・・株式会社シマノは、自転車部品と釣り用具の製造を主要事業とするアウトドアスポーツメーカーである。スポーツ自転車部品の世界最大手企業である。
2. 株式会社アシックス 701万円
・・・言わずと知れたシューズやウェアなどを中心に製造販売しているスポーツメーカー。神戸に本拠地を置き、近年、ヴィッセル神戸に所属するイニエスタ選手をスポンサードをして最新モデルのサッカー用スパイクでは、本人モデルのスパイクを作成するなど直近の話題性も強い。
3. グローブライド 683万円
・・・グローブライド社は、釣り具などのを製造販売するメーカである。東京都東久留米に本拠地を構える。
4. 住友ゴム重工 669万円
・・・ダンロップやファルケンといったタイヤブランドを展開し、ゴルフクラブやテニスラケットに関する商品を幅広く展開している。(参考:住友ゴム重工スポーツ事業)
5. ゴールドウィン 648万円
・・・スキーやアウトドアスポーツブランドを展開する同社。スポーツアパレルとしても評判が高い。
6. ミズノ 632万円
・・・サッカーシューズやウェアなど幅広くスポーツシーンを支える同社。大阪に本社を構え、直近ではスクール事業なども展開している。
7. デサント 615万円
・・・大阪に本社を置く、スポーツウェアの専門メーカー。アンブロやルコックスポティフなどのブランドを持つ。
8. 遠藤製作所 569万円
・・・世界中で愛されるゴルフのクラブヘッドの生産を行なっている。また、自動車や自動二輪車のエンジンギアなどの生産も行う非常に技術力に長けている会社。
9. ゼット 531万円
・・・野球用品やトレーニングウェアなどの販売を行う。
10. ヨネックス 494万円
・・・テニスやゴルフ、バドミントンに関する製品を幅広く製造・販売している。
参考:https://gyokai-search.com/4-sport-maker-nensyu.html
今後スポーツメーカーが着目すべきはどこになる?
ランニングブームの全盛期は過ぎ去ったように見えるが、少なくともコロナ禍が落ち着いたら復調の兆しは少なからず見せるに違いない。またナイキなどのスニーカーにはスポーツするしないに関わらず熱烈なファンがおり、そうした層をいかにアトラクトし続けるかも今後のキーとなるだろう。
フィットネスクラブに通う人の増加や、パーソナルトレーニングへの志向拡大は、引き続きメーカーにとっての追い風。競合も多いが、持続的な購買に繋げていくチャンスと言える。登山などのアウトドアも根強いブームとして定着しており、そうしたシーンを想定した商品や販路の展開が望まれる。
注意しなければならないのは、当該スポーツやアウトドアが流行っているから、これから東京オリンピックも開催されるからといって、自然と顧客が寄ってくると思ってはいけないことだ。各種メーカーも同じように顧客を確保したがっており、いかに価格を抑えていかにクオリティのいいものを販売するか、またいかにターゲット層を取り込むべくプロモーションをかけるか、日々思考をめぐらせている。国内外の状況を広く正確に捉え、自分の仕事に反映していけるフレキシブルさが求められていくだろう。