2020年東京オリンピックを目前に控え、スポーツ業界が盛り上がりを見せていることは言うまでもない。その盛り上がりは今後も更に高まっていくと考えられる。そんなスポーツ市場において、注目度が高まっているのがIT技術の活用だ。事実、2015年時点では、スポーツ庁が発表したスポーツ市場規模の内訳に計上されていなかったスポーツ産業のIoT活用政策を、2025年には1.1兆円まで拡大させる方針が掲げられている。
そのスポーツ市場におけるIT技術活用のトレンドで注目を集めるのがスタジアムである。2020年には日本でも5Gが導入されると言われている中、スポーツをする人と観る人とを繋ぐスタジアムの新しい形について考察していきたいと思う。
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なぜ、スポーツにIT技術が活用されるのか?
近年、スポーツにIT技術が活用されている事例は増えている。各種スポーツでのビデオ判定や選手のデータ分析、戦術分析などがその例として挙げられる。では、なぜスポーツにIT技術が活用されるのか。
それは、アスリートにとってもスタッフにとっても、また観客にとってもメリットが多くあるからである。アスリートやスタッフにとっては、自分のパフォーマンスや相手チームの情報等、以前は詳しく分からなかった部分が数値化され、より具体的なプレーや指示が可能になった。
また、観客にとっては、今までになかった体験を得られたり、そこにいるかのような臨場感を味わえるようになった。
スタジアムの新しい形!2つの事例を紹介
上記で述べた観客の体験の場がスタジアムである。スポーツ配信サービスが普及する中、生観戦の魅力を高めるためにも、IT技術を駆使して観客の感動やエンゲージメントを強固なものにしている。
そのような設備を備えたスタジアムをスマートスタジアムと呼び、欧米を中心に増加している。ここでは、その代表例としてアメリカの「リーバイススタジアム」と日本の「NACK5スタジアム大宮」を紹介したい。
・リーバイススタジアム
アメリカのシリコンバレーに位置するこのスタジアムは、スマートスタジアムの先駆けとして知られている。通信設備が充実しており、観客向けの無料Wi-Fiとスタジアム専用のアプリが導入された。
これらにより、観客は試合のリプレイ映像をアプリでいつでも視聴可能になったり、試合や選手のデータがすぐに確認できるようになった。また、飲料をアプリ上で購入し、商品を座席まで届けてくれるシステムや、スタジアムの入り口から自分の座席までの行き方を示してくれるシステムなども導入された。
・NACK5スタジアム大宮
Jリーグ2部に所属する大宮アルディージャのホームスタジアムであるこのスタジアムは、日本のスマートスタジアムの先頭を走っている。観客向けの無料Wi-Fiで快適な接続を提供したり、専用アプリで特別コンテンツの配信などを行なっている。
また、VRを用いてキーパー目線でのシュートを体験できたり、スタジアム周辺のお店をマップ付きで紹介し、クーポンを配信したりといった取り組みも行なっている。
これらがスマートスタジアムの代表例だが、他にも多くのスタジアムがIT技術を活用し、今までにない体験を提供している。試合に関わるデータや映像の提供はもちろんのこと、試合以外のスタジアムでの付加価値も提供しているのが特徴である。
スタジアム×テクノロジーの未来
ここまでスポーツ、特にスタジアムでのIT技術の活用について考察してきた。既に導入しているスタジアムも多く、今後もその数は増えていくと思われる。目先にある東京オリンピックでも、インテルコーポレーションとAlibabaがAIを活用したアスリートのパーフォーマンスを3D形式で利用できる技術をスタジアムに導入することを発表している。
スマートスタジアムの発展により、スタジアムに実際に訪れることで得られる付加価値が今まで以上に高くなり、よりスポーツの魅力を生で伝えられるようになる。スポーツを観る上でスタジアムは欠かせないものであり、スポーツのより一層の発展に重要な役割をもつと考えられる。今後もスポーツ・スタジアムへのIT技術活用に注目してみてはどうだろうか。