意外と知らないスポーツと“くじ”の世界~スポーツ振興・ビジネスとの意外な関係~

スポーツが好きな人にとって、totoやBIG、あるいは競馬といったスポーツ関連くじは興味の範疇だろう。しかし、いざ始めようとしてもなかなか契機が無かったり、中には少し怖い?イメージがあるかもしれない。実はtotoやBIGといったくじの場合、スポーツ振興に関する法律に基づくばかりか、競馬や競輪は競技自体が国が営む“公営競技”に属する。意外と知らないスポーツと関連くじの世界。今日はこの関係性を深ぼって行こう。

日本におけるスポーツ関連くじ

スポーツに関連したくじには、国内に大きく分けて「公営競技」を対象にしたものと「サッカー」を対象にしたものとが存在する。

・公営競技・・・地方競馬、競艇、競輪、オートレースを対象に、各レースの勝者や順位を予想する。どの競技とも100円から楽しむことができ、レースやオッズ(倍率)によって当選した場合の払戻金が異なる。後述のサッカーよりも歴史が古く、開催頻度が高いこともあり根強い人気がある。

・サッカーくじ・・・スポーツ振興くじ(スポーツしんこうくじ)は、サッカーの指定された試合の結果あるいは各チームの得点数を予想して投票し、的中すると当せん金を受けることができる。正式名称はスポーツ振興投票で、「toto(トト)」の愛称で親しまれている。2001年3月に全国発売がスタートし、現在は対象試合を少なくしたものや自身で予想する必要がないものなど、いくつかの種類が販売されている。

スポーツ以外で一般的なくじとして「宝くじ」は知られたところだが、それと公営競技のくじやサッカーくじは、当せん金率(売り上げのうちどれだけの割合が当選金(払戻金)として使われているか)や税金等を除いた還元率などが多少異なり、表にまとめると次のようになる。

総務省

気になる売り上げだが、スポーツくじ(toto・big)の令和元年の売上は約938億円であった。

スポーツくじ(toto・BIG)令和元年度売上は、約938億円

独立行政法人日本スポーツ振興センター

また、競艇は、年間1.5兆円ほどの売上を計上している。

【1.3兆円市場】年度別ボートレース売上推移

当たる優良競艇予想サイトランキング

競馬の年間の売上は、約3兆円である。

成長推移(JRAの概要) JRA – JRA日本中央競馬会

JRA日本中央競馬会

 こうした売り上げ規模を見ると「自分もやってみようかな…」と思う一方で、いわばギャンブルというものに少なからず抵抗があったり、お金を無駄にするようなイメージを抱いたりする人もいるかもしれない。確かに自分にもうけが出るとは必ずしも言えないが、実のところ公営競技やサッカーくじのスポーツくじは、その売り上げがよりよい暮らしやスポーツ環境の整備などに役立てられているのはご存知だろうか?

そもそも公営競技から見て後発に当たるサッカーくじは、「子どもからお年寄りまで、誰もが身近にスポーツに親しめる環境整備や、国際競技力向上のための環境整備など、新たなスポーツ振興政策を実施するため、その財源確保の手段として」導入された。割合で言うとおよそ下記のように配分されている。

売上金のうち、当せん払戻金(50%)、経費及び特定業務への繰入額を除いたものが収益となり、収益の4分の3はスポーツの振興を目的とする事業の資金として助成され、4分の1は国庫に納付されます。

具体的には、公園整備や遊具の新設などに使われたり、スポーツ団体への活動助成、地域のマラソン大会などの行事の際にも催行にかかる費用が一部補填されたりする。

スポーツくじへの企業の参入

また昨今、競輪やオートレースなどへの企業の参入が著しい。例えば、競輪は、楽天やサイバーエージェント、SNSやゲームアプリで有名なmixiが参入している。2019年には、mixiが競輪のインターネット投票サービス であるチャリロトを完全子会社化するなど、そういったIT大手企業が既存の事業者を買収するというケースまで出てきている。

しかし、なぜここまでも大手が参入したがるのだろうか。

それは単に、市場規模の大きさゆえだと考えてもいいだろう。スポーツ業界に目を当ててみると、ベッティング以上に市場が大きく、短日での売りが大きいサービスはまずない。また、競技として世界的な展開の余地も大いに残されている本領域は、資本力があるIT大手企業からすると喉から手が出るほど欲しい、新規事業の柱になりうるポテンシャルを大いに秘めた材料である。

まだまだ競輪やオートレースほど一般企業に開かれていない競馬や競艇など、今後の展開によっては大いに参入可能性もあり、より一層各社の動きに注目が集まる。

スポーツ振興事業の可能性

スポーツくじや、公営競技におけるベッティングは、非常に大きな可能性を秘めている。その市場規模もさることながら、ユーザー数、熱狂度も非常に大きい。mixi社が運営しているTIPSTARなどでは常時数万を超えるユーザーが公営競技に熱中している。

純粋なベッティングとしてだけではなく、競技としても、一つの娯楽としても、参入している企業が少ないため、今後の企業の関わり方によっては、さらなる発展が大幅に予測される。

ギャンブルという側面を持つことから一部の人からの印象は良くないかもしれないが、一度チラ見程度に見てみて欲しい。そこにまた新たなスポーツの可能性と、事業的成長性を見いだすことができるかもしれない。