現場で“本当に”役立つのはどれ!?スポーツ界で取りたい資格10選

仕事をする上で、果たして「資格」はどの程度必要だろうか?実のところ、資格が存在しない仕事もあれば、取得の有無に関わらずできる仕事はたぶんにある。

しかし、スポーツ指導やリハビリテーション、健康指導といった領域は専門性を示す証として資格に重きが置かれることが多い。加えて、それを保持することで将来の選択肢もますます広がるのだ。ではスポーツに関わりたいと思ったとき、どんな資格を取ればより有利に働くのだろうか?

特にオススメしたいスポーツ系資格10選

そもそも資格には民間の機関が認定する資格と国や自治体が司る公的な資格があるが、とりわけ前者は認知やステータスがあるものから極めてマイナーなものまで乱立しているのが実情である。そのため、目についた資格をやみくもに取ったところで、必ずしも生業に繋がるとは限らないのが注意点だ。

 そのうえでスポーツ界に目を向けると、次のような資格が特に重宝される可能性が高い。

《国家資格》理学療法士

理学療法士は「Physical Therapist」という英名からPTとも呼ばれるリハビリテーションの専門家。運動療法や、マッサージ・温熱器の使用といった物理療法で、痛みや怪我のケア、特に歩く、立つ、座るといった日常生活に欠かせない動作の維持や回復をサポートする。

《国家資格》作業療法士

作業療法士は「Occupational Therapist」という英名からOTと呼ばれ、理学療法士と比較して語られることが多いが、現に病院や愛護施設なども含めた活躍のフィールドを見ると重なりある部分も少なくない。棲み分けとしては、理学療法により基本動作(歩く・立つ・座る・起き上がるなど)を回復した患者等に対し、さらに一歩進んだ動き、例えば食事をとることや料理や掃除といった動作まで行えるようサポートする。

《国家資格》柔道整復師

柔道整復師は、骨・関節・筋・腱・靱帯などに加わる負荷や衝撃などによって発生しうる、骨折や脱臼、打撲、捻挫、挫傷などの怪我に対して、手術をしない「非観血的療法」を用いて治療にあたることのできる国家資格。具体的には、関節を元の正しい位置に戻す「整復」や、受傷して弛んだり折れたりした部分に対する「固定」などが挙げられる。

《国家資格》鍼灸師

鍼灸師とは、「はり」や「きゅう」を用いて治療を行ったり、健康回復を手助けしたりする職種のこと。医療機器や薬剤を使う西洋医学の治療とは異なり、鍼灸師が行っているのは東洋医学に基づく治療。「鍼」や「お灸」で体のツボを刺激することで、人間本来が持つ自然治癒力を高めていく。なお、「はり師」と「きゅう師」はそれぞれ別の資格。

《国家資格》あん摩指圧師

「あん摩マッサージ指圧師」とは、あん摩、マッサージ、指圧といった技術を用いて患者さんの身体に起こる変調を和らげる仕事。特徴としては東洋医学の知識を基礎として、器具を使用せず、「なでる」「揉む」「押す」「さする」などの動作を直接患者さんの身体に行う。そうした手技を正確に行う技量はもちろん、問診や検査法を通して不調の原因を特定する力も求められる。

《民間資格》日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー

JSPO(日本スポーツ協会)が定める講習を受け、理論試験・実技試験をクリアすることで取得できるトレーナー資格の一つ。公認スポーツドクター及び公認コーチとの緊密な協力のもとに、競技者の健康管理、外傷・障害予防、スポーツ外傷・障害の救急処置、アスレティックリハビリテーション、体力トレーニング及びコンディショニング等にあたる。

《民間資格》審判

上記に上げたようなスポーツする人を支える資格とは少し毛色が違うものの、日々選手と同じフィールドに立つ指導者とも異なる専門的な職種に、「審判」がある。競技によって審判制度も認定機関も異なるが、各スポーツを取りまとめる協会等による審判講習会の受講や試験を通して取得するのが一般的。サッカーを例にとると、4級の場合は1日講習会を受けることで取得できるが、3級は実際に主審として笛を吹いた経験が一定以上ないと受験資格が得られないなど、条件が細かに設定されている。

資格が活かせる現場はここ!

 いざ資格を取得すると、条件を満たす職域が広がることはもちろん、仮に条件として設定されていなくても、体系だった知識やスキルを持っているという点で優遇される場合も多い。「スポーツ系の資格だから、生かせるのはスポーツ業界だけ?」と思うかもしれないが、実際はそれに限らず様々な選択肢が考えられる。

スポーツ界

パッと思い浮かぶのはプロのチームかもしれないが、実際は少年チームやアマチュアの社会人チームにおいても、資格職が求められることがある。レベルが高いところほど実績や経験が問われることが多いが、求人が突然出ることもありチェックが欠かせない。アスレティックトレーナーかつ鍼灸の知識もある、といったように、プラスアルファがあるとより活躍の幅も広がるだろう。

商業スポーツ施設

フィットネスクラブやトレーニング施設などにおいて利用者の指導に当たる場合、資格を持っていた方が信頼や安心に繋がりやすい。施設の管理運営においても、前提として地域や利用者の健康課題やニーズが把握できているとスムーズ。事業の経営や地域のスポーツ振興に関わるチャンスもあるだろう。

医療・福祉介護施設

活発なスポーツとはまた違った世界かもしれないが、身体の構造や運動の機序を理解している人材は、医療や介護の現場で役に立つ。高齢化社会も追い風となって、以前よりも長く元気に身体を動かしたいニーズが高まっているからだ。そのため、何らかの疾病や健康課題を抱えている段階から、リハビリテーションの提案や痛み・障害へのケアといった形で関わることが期待される。

スポーツ界で仕事をするときに意識することは?

さて、将来へ頭を巡らした時に「こうなりたい」「この仕事がしたい」といった願望が生じるのはもちろん、中には「ここでしか働きたくない」「この仕事以外は考えられない」という強い思いを持つ人もいるだろう。

それは必ずしも悪いことではないが、時に自分の持てる可能性を限定してしまうことにも繋がりうる。特に資格を取得すると、力を発揮できる範囲は大きく広がる。あくまで広く視野を持ち、いくつかの可能性に対して準備をしておくことも大切なことだろう。それは、ゆくゆく仕事や働く場を変える時にも効いてくる。

 学校へ行ったり、試験を受けて合格までにこぎ着けたり…といったプロセスは、どれもお金と時間を要するものだ。それだけに、どこで何を学ぶかをきちんと比較検討することも忘れずにいたい。

学校によってカリキュラムも異なれば、通う年数も取れる資格も異なるが、そこに「どれが正解」という一般論は存在しない。大半の学校はオープンキャンパスや学校説明会を開催しているし、近年はインターネット上で収集できる情報量も多いため、めざす将来像に合わせて調べてみるといいだろう。

現場は日々動いている。アップデートの意識を常に!

文中で触れたように、スポーツに関する資格は数としても分野としても様々にあり、もちろん「これを持っていると有利」「この業界ではこれが特にメジャー」といった側面はありつつも、時代とともに変化する可能性をはらむ。

自分がめざす方向に向け、いつ・どんな勉強を積みどんな資格を取るか、外の意見に頼りきらず調べたり聞いたりして、アップデートする意識を持とう。この「アップデートの意識」は資格を取得してからも同様で、日々動く現場から最新の知見を取り入れ、自分の実践や次のステップに活かせるよう心掛けて行こう。